コージーミステリーが好き(2) コーンウォール・ミステリーシリーズ (ジェイニー・ボライソー)2021年05月31日 00:29

 コーンウォールはイギリス最南端、西側の半島地域だ。風光明媚なところらしい。このシリーズは、ここで起こる事件を、素人探偵のローズ・トレヴェリアンが解決していく。彼女はアラフィフの画家で、夫に先立たれて一人暮らし。ちゃんとご飯も作るし、そういうイギリスの日常生活がきちんと書かれている。
 絵葉書用の絵を描くために、彼女はいろいろなところにスケッチに行くのだが、そういう地域巡りの描写も楽しい。友達のローラとは、しばしばパブでお酒を飲む。ローラの旦那は漁師なのでたまにしか帰ってこないのだ。
 中年のイギリス女性を中心とする、ちょっと自由な生活がうまく描かれと思う。
 2冊目あたりから恋愛めいた脇筋が入るようになるけれど、こういうのはいらん。

コージーミステリーが好き(3) 老人たちの生活と推理シリーズ (コリン・ホルト・ソーヤー)2021年05月31日 00:34

 「老人たちの生活と推理」・・・表紙にそう書いてあったのを見て、これは買いだと思った。
 老人の推理と言えば、ミス・マープルが有名だが、こっちは現代アメリカの金持ちの老人。高級老人ホームに、それぞれのコテージを持つという二人のばあちゃんが主人公だ。
 やることがあまりないから、身近に起こった事件にチビばあちゃんが首を突っ込んでいく。デカばあちゃんがブレーキをかけながら事件は解決の方向に向かう。
 とにかくお金持ちの人たちなので、いわゆる老人のみじめさは全くない。食事の場面がよく出てくるが、シェリー酒をひっかけてから、自分の席に着き、シュミット夫人の料理をいただくという毎日。こういう見たことも、将来見ることもない世界の描写もなかなかおもしろい。
 このシリーズを何冊か読んでいくと、主人公の二人のばあちゃんの扱いが微妙に変わっていっている。偏屈・攻撃的なチビばあちゃんが主人公だったのだが、おおらかで包容力のあるデカばあちゃんの印象が強くなっていく。作者の中で、デカばあちゃんへの愛情が深くなっていったのだろうか。