コージーミステリーが好き(4) ミセス・ポリファックス・シリーズ (ドロシー・ギルマン)2021年06月06日 13:52

 ミセス・ポリファックスは、60代もだいぶいった未亡人。生活の心配はないけれど、生きていくはりあいもない。どうせなら、人の役に立とうと、いきなりCIAに行った。
 もちろん断られるわけだが、面がわれていないということから、小さな仕事で使われることになる。ばあちゃんのスパイ。この設定自体、荒唐無稽だが、話の筋も結構ご都合主義的なことばかり。だけど、そこは問題じゃないのよ。
 ミセス・ポリファックスには、一昔前のよきアメリカ人のいいところが揃っている。強くて、明るくて、健康。いつもしゃきっと背筋をのばして歩いている。
 会話でも、教訓めいたことや名言は言わない。ただ、健康的な常識や品が感じられるのがよい。あんな風に話せるようになりたいと思ってしまう。

コージーミステリーが好き(5) フロスト警部・シリーズ (R・D・ウィングフィールド)2021年06月06日 15:43

 このシリーズは、ロンドン近くの田舎町が背景。警察は人手が足りないので、フロスト警部も殺人、誘拐、窃盗、新人の育成を同時にやらなくてはならない。
 手に余る仕事の末、失敗、失敗、叱責・・・、1日が長い。おまけにこの主人公は、とてもだらしない人物だ。男やもめに蛆がわき、を地でいっている。切れ者でもなく、猥雑なジョークしか言わない。
 それでもわたしが読み続けられるのは、フロストは人をだましたり、上の者におもねったりしないからだ。この人なら、わたしの手を離さないだろう、そう思わせてくれる。
 (このシリーズは、テレビドラマ化されている。でも、そこに出てくるフロストは、いい人すぎる。脚本家はフロストになんの思い入れもなかったのだろう。)