コージーミステリーが好き(2) コーンウォール・ミステリーシリーズ (ジェイニー・ボライソー)2021年05月31日 00:29

 コーンウォールはイギリス最南端、西側の半島地域だ。風光明媚なところらしい。このシリーズは、ここで起こる事件を、素人探偵のローズ・トレヴェリアンが解決していく。彼女はアラフィフの画家で、夫に先立たれて一人暮らし。ちゃんとご飯も作るし、そういうイギリスの日常生活がきちんと書かれている。
 絵葉書用の絵を描くために、彼女はいろいろなところにスケッチに行くのだが、そういう地域巡りの描写も楽しい。友達のローラとは、しばしばパブでお酒を飲む。ローラの旦那は漁師なのでたまにしか帰ってこないのだ。
 中年のイギリス女性を中心とする、ちょっと自由な生活がうまく描かれと思う。
 2冊目あたりから恋愛めいた脇筋が入るようになるけれど、こういうのはいらん。

コージーミステリーが好き(1) リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ (S.J.ローザン)2021年05月23日 18:22

著者も女性なら、訳者も女性。
 1.見たこともないようなすごいトリックより、主人公の生活や街の様子など、細々したところをちゃんと書いてくれるミステリーが好き。
 2.女性の作者の作品に共感できるものが多い。ミステリーの女王アガサ・クリスティーも女性だし。
 以上の理由からこのシリーズも大好き。
 時は現代、ニューヨークで探偵稼業を営むリディアとビル。二人は基本的に関係がない。でも時々一緒に仕事したり、活動の線が交わることがある。20代のリディアと40代のビル、それぞれの日常がていねいに描かれる。わたしにはそこが一番の魅力。
 「チャイナタウン」は、このシリーズの第1作。リディアが語り手として物語が進む。2巻目の「ピアノ・ソナタ」では、ビルが語り手。3巻目以降も語り手が交互に交代し、それぞれの視点から物語が見られる。こういった趣向も魅力。

森英恵の時代2021年01月03日 17:42

「アイデアは、いつも引き出しのなかにいっぱい入れておく。それをいつ出すかということ。」それは、とてもむずかしい。
 この間壊れたキーホルダーは、就職して初めてか2回目くらいのお給料で買ったハナエモリのもの。
 一緒に買ったお揃いのお財布はとっくに壊れてしまったが、こっちは数十年使った。
 同じ頃、森英恵の『あしたのデザイン』という本を読んだ。
 女一人でビジネスを始めて、そこまでやるのかという頑張りが印象に残っている。
 わたしが就職した頃、年配の女性の課長さんから、「あなたは職業婦人になりたいの」と聞かれた。
 図書館の仕事がしたいと言ったら、同じくらい年配の係長さんからは、「カタロガーになりたいのですか」と言われた。
 職業婦人もカタロガーも死語だと思っていたが、森英恵の時代の人たちの間では、生きていたんだ。
 「ちょっと先の、やがてみんながそこに来るものをつくって用意する」 と森英恵は書いていた。
 そうした働く女性たちの頑張りがいいバトンを渡してくれたから、わたしたちが普通に働けているのだと感じる。

57歳の田辺聖子2020年09月30日 23:54

 ブログを始めたきっかけは、「このブログについて」にもあるように、小さなことでいいから、生活のなかで明るいことを見つけていこうということ。2週間前から始めた。
 昨日、田辺聖子の『残花亭日暦』をぱらっと開いてみたら、そこにこんな文章を発見。
 「・・・業務連絡帳のほかに、もう一つ私は、「よいことばかり あるように日記」というのを作っている」
 そっかーと思った。そのときの田辺聖子の年齢にわたしも近い。この年頃の女たちは、こうやってそれぞれの「いま」を乗り切ってきたのだろうか。
 わたしもこのブログを続けてみよう。